「ゼロリスク社会」の罠 ~「怖い」が判断を狂わせる~【書評】
今回は『「ゼロリスク社会」の罠 ~「怖い」が判断を狂わせる~』という本を読んでみました。
著者は佐藤健太郎氏、化学を主に取り扱っているライターの方です。
内容はタイトルの通りでリスクを回避しようとすると発生する新たな問題を化学的、心理的な話を交えてを取り上げています。
例えば保存料の話、近年保存料バッシングにより保存料のソルビン酸類の添加されている食品が減少傾向にあるそうです。傍目で見てみると健康に良さそうだしいいんじゃねという思考になりかねないのですが、このまま保存料無添加の食品が増えてしまった場合、保存に冷蔵が必須になりこれが莫大な電力を消費することにつながってしまいます。
ほかにも同時多発テロが発生してからというものの飛行機を避ける人が急増したそうです。代わりに車を利用する人が増えたのですが、その車で事故を起こす人が増えてしまい翌年の車による交通事故での犠牲者が大幅に増えてしまったといいます。
この本を一読してみて思ったことは昨今世間を賑わせているコロナウイルスのリスク管理に使える情報が多く書かれていると思いました。
興味があるかたはぜひ読んでみてください
教養としてのテクノロジー AI、仮想通貨、ブロックチェーン【書評】
今回は『教養としてのテクノロジー AI、仮想通貨、ブロックチェーン
』という本を読んでみました。
著者は伊藤穣一氏、アンドレ・ウール氏の共著となっております。
伊藤穣一氏は当時MITのメディアラボという研究所で所長を務めていた方です。(調べたところ今は辞任したそう)
アンドレウール氏は初めて知る方だったのですが、彼もメディアラボに所属しているそうでそのつながりで共著に至ったのでしょう。
個人的にこの本はとても考えさせられる一冊でした。まずはタイトルのとおり各種テクノロジーを紹介した後に、それらが抱えている問題点を列挙するような構成となっています。
特に自動運転車を制御するコンピューターの問題点としてそのコンピューターがどんな倫理観を持っていて「トロッコ問題」*1のような状況が発生した場合コンピューターはどうするのか、さらに事故を起こした際に責任はだれに帰属するのかというテーマも実際に自動運転の開発を行っている企業数社を例に挙げて説明がなされていて読んでいてとても勉強になりました。
またテクノロジーの話題から少し離れてしまう気もしたのですが、「アンスクーリング」の話題も面白かったです。
米国で流行りつつある子供を学校教育に頼らずに育てる教育方法で大人たちは基本教育に干渉しないで子供が興味をもったことに対しては手助けを行うというものらしいです。不登校の子たちが多い今の日本にはぴったりの教育方法なのではないかと思いました。(私は詳しくないのでわかりませんが日本ではフリースクールの教育方針とかがこれにあたるのでしょうか)
興味がある方はぜひお手に取ってみることをおすすめします。
ヒトは「いじめ」をやめられない【書評】
こんにちは!
今回は『ヒトは「いじめ」をやめられない』という本を読んでみました!
著者は中野信子先生、脳科学者でMensa*1の元会員というめちゃくちゃすごい人です。
さて、なぜこの本を手に取ったのかというと…いつの時代であっても発生するいじめという問題。それはいかなる過程を経て発生するのか、またいじめから自分の身を守るにはどうすればいいのか?ということが気になり読んでみた次第です。
結論から言いますとその疑問をかなり解決することができました。
では簡単にですがこれを纏めてみましょう!
いじめはなぜ発生する?
- 愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが人間には備わっておりそれが仲間感情を強める一方排外感情も強める
- 集団生活においてタダ乗りをする「フリーライダー」の存在
- そして「フリーライダー」を排除しようとする集団構成員がサンクション(制裁)を行う
いじめから身を守るには?
- 自虐を行う
- 自分を斜め上から俯瞰し自分の取るべき言動を判断する
とのことです。自分を客観視するっていうのはなんとなく予想がついたのですが、自虐を行うのが有効というのは初耳でした。
これはアンダードッグ効果というらしく自分の傷をあえてさらけ出すことによってその人を応援したくなるような心理状態になるそうです。
これらの他に小中学校でいじめが起こりづらくなる教育的取り組の提案なども詳しく書かれています。脳科学の観点からいじめに対することを書かれているのでとても面白いです。
気になった方は是非ともお手に取ってみてください
*1:全人口の上位2%のIQを持つ人だけが入れる団体